2025.06.09 万博会場
「MEET UP KYOTO きょうと大集合」物産イベントを開催しました!(4/30)

"京都のさまざまな文化があつまる"をコンセプトに、大阪・関西万博を起点とした京都へのゲートウェイとなる春のイベント「MEET UP KYOTO きょうと大集合」を関西パビリオン多目的エリアで開催しました。 4月29日(火)~4月30日(水)の2日間にわたって行われた物産イベントの様子をお届けします。
目次
MEET UP KYOTO きょうと大集合 物産イベント
取材に訪れたイベント2日目である4月30日(水)は、天候にも恵まれ、多くの来場者が次々にブースを訪れていました。食や伝統工芸、産業、SDGsに向けた取組まで、京都府の魅力が詰まった個性豊かな7ブースが並びました。
海の京都の企業/京都北都信用金庫
北西から南東にかけ長細い地形を有する京都府の中で、北部に位置するのが海の京都エリア(福知山市、舞鶴市、綾部市、宮津市、京丹後市、伊根町、与謝野町)です。日本海と山々に囲まれた自然豊かな地で受け継がれてきた「丹後ちりめん」や「黒谷和紙」といった伝統産業から、未来志向の品々まで海の京都一押しの商品がずらりと並びました。
インタビュイー:株式会社ホリグチ 営業部長 児島 信行さん
―― こちらのブースについて教えてください。
京都府北部エリアの商品を集めさせていただいて、伝統工芸品であったり、シルク製品というものを出展しています。北部エリアの商品を知ってもらったり買ってもらうことで、京都府北部エリア行きたいとご来場者様に思っていただきたいと考えております。
―― まゆまろの畳が目を引きますね。
ありがとうございます。畳の文化は今どんどん衰退していってしまっていますが、少しでも畳にはまだまだこんな良いところがありますよということを発信すべく、こういったオブジェや小物製品を通して、畳の文化を広げていきたいと思っています。
地元では畳床として親しまれていますが、都会ではテーマパークとコラボしてだるまを置く台を作ったりもしました。コースターなどの小物も制作しています。
―― ご来場者様の反応はいかがでしょうか?
「MEET UP KYOTO きょうと大集合」への出展を通して、ご来場者様と「(京都北部エリアを)知っている、行ったことがある」という話で盛り上がったり、「行ってみたい」という声をいただけるきっかけになりました。是非、実際に京都府北部エリアにも足を運んでいただきたいと思っております。
一般社団法人京都物産出品協会
京の味と工芸の老舗約160店が加入する京都物産出品協会のブースでは、京都の「雅な味わい」が楽しめる食品ブースと、「伝統の技」が光る工芸品ブースを展開しました。
【食品ブース】
インタビュイー:京つけもの西利 松田さん
―― 今回の出展について教えてください。
本日は京つけもの西利、井筒八ツ橋、七條甘春堂、くらま辻井の4社で来ています。
こちらのメンバーは京都物産出品協会の会員でして、「京都逸品プロジェクト」という万博に向けて商品を開発するプロジェクトに参加しています。京都で新しい価値観を探して開発した今回のための特別な商品を展示・販売しています。
―― ご来場者様の反応はいかがでしょうか?
物珍しいということで足を止めておられる方がたくさんいらっしゃいました。
この万博で来られる方はやはり全国各地、また世界各国からいらっしゃる方も多いと思うので、京都にはこんなものがあるんだよということを知っていただけたらなと思っています。
【工芸品ブース】
インタビュイー:京こま 雀休 中村 佳之さん
―― 出展のきっかけを教えてください。
「京こま」という京都の伝統産業ですが、作っているのはうちが最後の一件です。そういった事情もあり、皆さんにより広く知ってもらえるように、代表的なこまを持ってまいりました。
普段こまを回さない方が多いと思うので、今回こちらのブースで楽しんでこまを回されている方を見られて嬉しいです。
小さいお子さんから、おじいちゃん、おばあちゃん、外国の人まで色んな人が積極的にこまを回されています。
―― 色やデザインもとりどりで可愛らしいですね。
京こまの特徴は木ではなく布を巻いて作っているところでして、そこが独特なところでもあります。なるべく楽しく回したくなるようにと思ってつくっています。
今回の大阪・関西万博のテーマに沿ったものとして、空と海と大地が命を注いで回る......といったものをイメージしてデザインしたものも作ってきました。
- Webサイト
- 一般社団法人京都物産出品協会
公益社団法人認知症の人と家族の会
認知症の人やその家族が同じ立場の人と繋がり、生きる力となることを目指す当事者団体である認知症の人と家族の会のブースでは、会の有志によるハンドメイド作品を販売。服やバッグ、アクセサリー、インテリア雑貨など、西陣織の着物などをリメイクして一つ一つ丁寧に手作りされています。
インタビュイー:
認知症の人と家族の会 事務局次長 辻村 康代さん
認知症の人と家族の会 京都府支部 世話人 沼田 佐知子さん
―― 普段はどういった活動をされていますか?
沼田さん:
認知症の人と家族の会の世話人の同好会として手作り教室を開いています。7、8年前にアルツハイマー国際会議が京都でありまして、その時に我々がいくらか寄付をしようということで、いろいろなものを作って販売するといった活動を始めました。寄付活動終了後も、日常的にサークルで手作りを楽しんでいて、現在は有志のサークルとして活動しています。
―― 大阪・関西万博へ出展するきっかけは?
辻村さん:
沼田さんがOHM(Okoshiyasu Hand Made)という名前で活動されています。今回の「京都から発信する」という目的と、京都の西陣織の着物をリメイクして小物を制作するという活動内容が重なると思い出展させていただきました。
―― ご来場者さまにどんなことを感じてもらいたいですか?
沼田さん:
ほとんどの商品は京都らしい着物の生地でリメイクしていまして、ご来場者様も喜んで見ていってくれます。新しく材料を買わないのを1つのテーマにしていまして、今回の万博の目的とも合うと思っています。
日本らしい着物をリメイクしたい、そしてそういったことがSDGsにも繋がるということが私たちのテーマです。
- Webサイト
- 公益社団法人認知症の人と家族の会
京都美術化工株式会社
印刷物への特殊表面加工を得意とする京都美術化工株式会社が生み出す、和紙×PET素材という特殊な紙「薄雲紙」。その「薄雲紙」からつくられたオリジナルの文具や雑貨が会場にずらりとラインアップ!柔らかな風合いが美しい和紙と、硬質なPET素材が生み出す独特で繊細な質感に来場者も興味津々でした。
インタビュイー:京都美術化工株式会社 荻原 眞人 社長
―― 今回はどういったものを出展されていますか?
僕たちはいろんな印刷物の特殊加工をする会社でして、普段は企業間取引が中心ですので自分たちの商品は見せられないものが多いんですよ。それを今回、自分たちのデザインしたもので様々なお客様に展開しています。
いろんな柄の商品を販売していますが、その中でも「薄雲紙」と呼ばれる和紙とPET素材を貼合した製品を開発しています。この「薄雲紙」を広くアピールするために、今回出展させていただきました。
―― 製品についてもっと教えてください
市松模様の和紙を張り合わせた製品があります。市松という柄は歌舞伎役者に由来しているので、そこにさらに歌舞伎役者をイメージした香りをまとわせています。
他にも「薄雲紙」の上に箔押しさらに印刷を重ねるという特殊な印刷工程を経てつくられた製品や、お米を原料にしたフィルム(ライスレジン)と和紙を張り合わせた製品もあります。
―― ご来場者様の反応はいかがでしょうか?
今まで展示会には出展してきましたが、今回はご来場者様が実際に買いたいと言って買ってくださいます。もともとは直接販売していないので、珍しい機会となっています。「こうした方がいいよね」というお客様の声を聞いて、また僕たちの製品づくりに反映させていきたいと思っています。
「薄雲紙という素材があるんだな」と知ってもらういい場になりました。
- Webサイト
- 京都美術化工株式会社
京田辺市/一般社団法人京田辺市観光協会
一休さんで有名な「酬恩庵一休寺」や、国宝十一面観音像を安置する「大御堂観音寺」をはじめ、多くの観光名所があり自然豊かな京田辺市。日本茶最高峰「玉露」の産地として、玉露を使用したスイーツ中心に、京田辺らしさが詰まった「京田辺ブランド一休品」がブースに並びました。
インタビュイー:一般社団法人京田辺市観光協会 専務理事兼事務局長 松尾 憲雄さん
―― 京田辺市の名物について教えてください。
京田辺市は「玉露の町・京田辺」ということで、日本一の玉露をつくっています。本日も今まで農林水産大臣賞を何度も受賞した京田辺玉露をお持ちしました。京田辺玉露も含めたお茶のスイーツを中心に、「京田辺ブランド一休品」という京田辺市の観光協会が認定している特産品を出展しています。
―― 京田辺ブランド一休品とはなんですか?
京田辺市観光協会の会員さんが製造販売されている「京田辺市らしさ」を持ち合わせた商品を、「京田辺ブランド一休品」に登録しています。
「一級品」と「一休品」をかけておりまして、「一休」というのは京田辺市にある酬恩庵一休寺からです。酬恩庵一休寺は一休さんが88歳の晩年を過ごされたお寺があるんですよ。そのことにちなんで、一休品としています。
「京田辺ブランド一休品」は現在30ほど認定していますが、その中からピックアップして当イベントでお届けしております。
- Webサイト
- 京田辺観光協会
井手町
市街地には清流「玉川」が流れ、四季折々の自然とのどかな里山の風景が魅力の井手町。そんな井手町の特産品である、たけのこや茶を使ったグルメや、井手町で作られた工芸品が登場しました。
インタビュイー:井手町役場 企画財政課 古角 拓也さん
―― 今回、出展されているものについて教えてください。
こちらのブースでは、井手町の地元の業者さんがつくった商品を出展しています。
商品の中でも特に変わり種なのがこちらの万華鏡でして、万華鏡のメーカーが製作したものではなく、呉服の反物を巻くための「紙管」を製造しているメーカーが手掛けたものとなっています。呉服の反物を巻くための紙管製造では、日本のシェアナンバーワンを有していますが、近年呉服での需要が減ってきているため、こういった万華鏡であったり、お香の入れ物など多方面へ展開されるようになりました。特に万華鏡は、大阪・関西万博に来場された海外の方に向けて発信する上で、日本らしさのあるよい商品だろうということでお持ちしています。
他にも、グルテンフリーでオーガニックなこちらのポン菓子は、子供でも大人でも誰でも安心して食べられるというコンセプトで製造されています。
また、井手町は京都府南部の山城地域に位置していますので、お茶やたけのこといった商品もたくさん販売しています。
―― 金属のオブジェが独創的ですね!
井手町の山奥に鍛冶工房がありましてそこで実際にハンマーで叩いている職人さんがいらっしゃいます。刀鍛冶ではないので切れるものは作りませんが、日用品などを全部一点物で制作されており、大阪・関西万博でもその魅力をPRしたいと思っています。
海外の方にも「京都にはこういったものもあるんだ」と興味を持って見ていただけています。
―― 大阪・関西万博に期待されていることはありますか?
井手町のブースのみならずだとは思いますが、日本の洗練された技術や芸術的なところなど、日本特有の部分を見ていってもらいたいです。また、井手町では抹茶やたけのこといった食品も取り扱っていますので、日本独特の味も楽しんでいただきたいと思っています。
- Webサイト
- 井手町公式プロモーションサイト
木津川市
木津川市は、府内にある自治体の中で最南端に位置し、豊かな自然や歴史ある文化財の数々、関西文化学術研究都市として最先端の研究施設を有し、それらが見事に調和した都市です。古くから「織物ふすま紙」の産業が盛んで、日本の約9割をこの木津川市で製造しています。今回の物産イベントには、そんな織物ふすま紙を用いたユニークな雑貨がラインアップ!
インタビュイー:森本織物株式会社 稲葉 久智さん
―― 木津川市のふすま紙について教えてください。
表面が織物で裏が紙になっています。この2種類を張り合わせているため、一般的なふすま紙よりも丈夫なものになっています。
現在、木津川市では6社で組合を組んでいて、日本の約9割の織物ふすま紙を製造しています。しかし、やはり近年はふすまの需要が少ないため裾野を広げるべく、ふすまを小物に展開し、まずはふすまの素材などを見てもらっています。
ふすま紙の加工方法と壁紙の加工方法が一緒なので、壁紙にも展開しており、海外へも輸出しています。
―― ご来場者様の反応はいかがでしょうか?
こういったふすまを用いた製品が珍しいと興味を持たれる方がおられます。また、日本の和柄などの伝統的な文様も、外国の方から見たら「すごくいいね」と評価していただけます。まずは製品を見てもらい、最終的には織物加工や紙と生地を張り合わせる加工などの技術といった面にも注目していただけたらと思っています。
組合では工場見学や小物を制作するワークショップも開催しています。
―― 万博を通じて発信したいことはありますか?
こういった伝統産業をたくさんの人に知ってもらいたいし、もちろん木津川市の中でも知らないという人がたくさんいるので、地域の方にも見てもらいたいです。日本中の人にも京都の木津川市ではこういったものをつくっているよだとか、世界に関しても壁紙を中心に世界へ展開しているといったことをアピールしたいです。加工技術や意匠性についても発信していきたいです。
ものづくりの楽しさといった魅力も伝えたいですよね。
ワークショップでは子どもたちに実際にものづくりの体験をしてもらっていますが、完成した時の達成感やアート性といった感性を持っていただいて、最終的には伝統産業に携わる仕事に就いて貰えたら嬉しいです。長い先の未来だけれど、そうやって木津川市の伝統産業を未来へ引き継いでいけたらと思っています。
- Webサイト
- 森本織物株式会社 ふすまクラフト
京都府内には、今回ご紹介したほかにも歴史・文化・自然・食など、多彩で魅力あふれる地域資源が数多くあります。ぜひ実際に足を運んでみてください!