IVSとは？

2007年に始まり、国内外のスタートアップ、投資家、大企業、クリエイターなどが一堂に会する国内最大規模のスタートアップカンファレンス。IVSをきっかけにイグジット（上場やM＆Aなど）を達成したスタートアップ企業も多く、"実利を生む場"として圧倒的な成果を出し続けています。

2025年のテーマは「Reshape Japan with Global Minds」。ピッチコンテストやセッション、サイドイベントなどの様々な企画を通じて世界の潮流を取り入れながら、日本の次なる姿を共創していきます。

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京都を中心に関西圏の起業を盛り上げる

―― IVSの京都開催は今年で3年連続となりますが、何かきっかけがあったのでしょうか？

IVSは2007年に宮崎でスタートして以来、京都や金沢、さらにはタイや台湾など、国内外のさまざまな都市で開催してきました。当初は完全招待制で規模も2000人以下でしたが、2023年に規模を拡大することになり、その時に開催地として選んだのが京都でした。以来、今年で3年目の京都開催となります。

―― なぜ大規模開催に踏み切ったのですか？

理由はいくつかありますが、一つは、2022年に国が掲げた「スタートアップ育成5か年計画」ですね。日本におけるスタートアップ企業の成長を促進させようというものですが、この政策を受けて、IVSも間口を広げていこうと考えました。

また、日本のスタートアップ企業が成長していくには、海外の投資家や企業からもお金を獲得していく必要があります。そのためにも1万人規模で開催し、海外の参加者を誘致できる場にしていくことを決めました。

―― 大規模化にあたって京都を選んだ理由を教えてください。

京都を開催地に選んだ理由は大きく3つあります。

一つ目は、大規模開催に必要な環境が整っていることです。アクセスが良く、ホテルの数も充実しています。海外の方に人気の土地であるというのも、国際的なイベントを開催する上で魅力的でした。

二つ目は、大学の多さです。起業家の卵ともいえる学生がたくさんいることに加え、大学では様々な研究が行われており、起業につながる可能性のある研究も非常に多くあります。これも、京都の大きな強みです。

そして三つ目が、関西には日本の時代を築いてきた大企業が非常に多いことです。京都には京セラやオムロンといった名だたる企業が集積しています。そうした大企業とスタートアップが交わることで、さらなる日本経済の活性化につながるのではないかと考えました。

―― 2023年以降、京都で開催を続けているのは何故ですか？

京都の人と街の魅力というのは大きいですね。私たちはいろいろな地域の行政の方とお話させていただいていますが、京都のサポート体制は本当にありがたいです。また、IVSではサイドイベントを街中で開催しているのですが、京都の適度な広さや街の魅力は、非常に相性がいいと感じています。

それともう一つ、これまでスタートアップは首都圏に集中していたのですが、最近、京都大学発のスタートアップが増えてきているなど、京都を中心とした関西圏での起業の流れが徐々に生まれてきているように感じています。だからこそ、その流れをさらに盛り上げていきたいという想いがあります。

次世代起業家のための国内最大級ピッチイベントは必見

―― IVSでイチオシの企画はありますか？

「IVS LAUNCHPAD（ローンチパッド）」はぜひ見ていただきたいです。次世代の起業家の登竜門ともいわれる国内最大規模のピッチコンテストです。数百社以上の応募者の中から選考を勝ち抜いた登壇者が、自社プロダクトとそれにかける熱い想いをプレゼンテーションで発表します。

―― このピッチコンテストをきっかけに躍進した企業も多いそうですね。

上場やM&Aは60社以上、資金調達は累計で3000億円を超えています。皆さんが知っている企業でいうと、クラウド会計ソフトのfreeeやロボアドバイザーによる個人資産運用サービスのWealth Navi、VTuber事務所のCOVERなどは、創業間もない頃に登壇して、そこから5～7年後くらいに大型上場を成し遂げています。

ローンチパッドというのは「ロケットの発射台」という意味ですが、このピッチイベントは、まさに一気に大型上場まで行くための発射台です。ここに登壇する企業は、数年後には本当に上場したり大きくニュースに取り上げられたりしていきますので、興味を持っていただけると面白いんじゃないかなと思います。

―― 今回、初開催の企画もあると聞きました。

スタートアップマーケットという企画を、今年初めて行います。これは、期間中に日替わりで100社、3日間合計で300社のスタートアップがブース出展する企画です。数年前からずっとやりたいと思っていたのですが、ようやく実現に至りました。

出展者は皆、IVSのVC（ベンチャーキャピタル）パートナーの推薦を受けています。年間数百社ものスタートアップと会っているVCが注目企業としてピックアップしているので、クオリティの高い企業が揃っています。

―― スタートアップマーケット、1日の出展企業が100社もあると、どれを見ればいいか迷ってしまいそうです。

本企画はVCによるツアー形式で行いますので、VCが厳選した企業を、解説付きでまわることができます。気になるテーマのツアーに参加することで、業界の状況から出展企業の特徴までを理解したうえで、各出展企業から話を聞くことができます。

こちらは事前申込が必要で、各ツアーには定員がありますので、早めにサイトをチェックして申し込んでいただけると良いかなと思います。

―― セッションも盛りだくさんですが、おすすめはありますか？

今回、190ほどのセッションがありますので、迷われてしまうかもしれませんね。目玉コンテンツの一つは、初日の7月2日に行われる、Notionの創業者の方と京都府知事・京都市長との対談セッションです。

Notionは今や世界で一億人以上に使われているプロダクトですが、アイディアが生まれたのは京都です。京都ゆかりのスタートアップが登壇するのは非常に意義のあることだと思っています。

また、今回初開催となる、学生に特化したピッチイベントもおすすめです。日本最大級の学生ビジネスコンテスト「学生ピッチ甲子園」の全国大会という位置づけです。各地の大会で優勝した学生起業家たちのプレゼンは、レベルが高くて面白いと思います。

あとはネオクリエという、AIを使ったクリエイティブコンテストもあります。最近はAIでいろいろな画像や映像が作れるようになりましたが、今、そのAIを最大限活用すると一体どこまでできるのか、というのが見られますよ。

―― 今年は大阪・関西万博の年でもあります。何か万博との関連はありますか？

スタートアップマーケットに、万博会場でブース出展しているスタートアップ企業が10社ほど参加します。また、サイドイベントでも万博と関連付けたイベントが開催される予定です。

IVSでは海外からの参加者誘致も目指していますし、逆にIVSのために京都に来て、せっかくだから万博にも行こうという人もいると思いますので、そういったところで周知・連携ができればいいなと考えています。

起業仲間に出会える多様なサイドイベント

―― 街中で行われるサイドイベントについて教えてください。

参加者の方々が自分たちでイベントを主催するというもので、今年だと400～500件ほど開催される予定です。

起業家や投資家との真面目な交流会も非常に多くありますが、それだけでなく、趣味を軸にしたサイドイベントもあります。ビジネス上の表面的な付き合いではなく、趣味で繋がった仲間というのは長期的に見ると大事だったりしますので、そうした"一生の友達"に出会えるのも、IVSの魅力です。

―― 相談会もあればBBQや街歩きもあるなど、開催場所も切り口も本当に多様で、一覧を見ているだけでわくわくします。

昨年は、お寺での開催や、鴨川沿いを皆でランニングしながら投資家と話す、といった企画もありました。経営者の方々はマインドに関することへの興味関心が高いので、お寺での開催は親和性がありますし、遊び心を働かせやすいイベントが開催できるのは、京都ならではの魅力ですね。

主催者の皆さんから話を聞いていても、それぞれの会場に歴史や食文化が息づいているので、単なる交流会にとどまらずに京都らしさを楽しめるのが魅力になっているようです。

子どもも大人も、興味があれば大歓迎

―― 今年は、小中高生向けのイベントも開催されるそうですね。

7月5日（土）に「IVS Youth」を開催します。

子どもたちの中にも、自分でやりたいことがある子や、社会を変えたいという強い想いを持っている子がいます。それらをどうすれば実現できるのかを、先輩から学べる場を提供したいと考えています。

子どもたちに将来起業家を目指してもらうためには、まず知ってもらうことが必要です。もちろん、実際にスタートアップ業界に入るかは本人次第ですが、選択肢として早めに知っておくというのは、今後の人生を決めていく上でも非常に大事なことだと思っています。

―― IVS Youthにも、様々なコンテンツが用意されていますね。

小学校から高校生までとなると非常に幅広い年齢層ですし、たとえば同じ高校生の中でも、起業について何も知らない子もいれば、既にやりたいことが決まっていて、さらにステップアップしたいというような子もいます。ですので、それぞれの段階に合ったコンテンツを準備しています。

また、保護者向けにも、子どもの起業マインドの育み方やサポートの仕方を伝えるようなセッションを用意しています。

スタートアップの第一線で活躍している方から直接教わるというのは滅多にない機会だと思いますので、面白い場になると思いますよ。

―― このIVSはビジネスカンファレンスですが、起業家や投資家といった関係者でなくても参加してよいのでしょうか？

もちろんです。IVSの規模を拡大したのは、起業家を増やしていきたいという想いもありますので、興味のある方にはぜひ来ていただきたいです。

起業と聞くと、選ばれた優秀な人が起業していて、なんだかキラキラして見える、そんなイメージを持っている方が多いのではないかと思います。ですが上手くいっている起業家の人から話を聞いていると、起業の動機は「一緒にルームシェアしていた、あのどうしようもない奴が起業して成功しているんだから、自分もできるだろう」くらいだったりするんです。

だから実際に起業家の人と関わってみると、身近に感じられて起業のハードルも低くなるのではないかなと思います。起業家仲間を集めたい人や創業者を探している人もたくさんいますので、ぜひスタートアップ界隈に飛び込んでいく第一歩として、参加してもらいたいです。